2005/7/18

 パソコン卿がおよそ5秒間に渡り「キュイイイン、カシュッ」と尋常ではなく不穏な音を排出し、それが数度続き、時には電源が勝手に落ちる、という全くもって理解不能な奇病に見舞われたため、緊急避難先として、はてなのほうも使っていくことにしました。ここも急なシャットダウンに怯えながら使っていきます。

 使い分けは、「因果全般」がHTML、「そのほか全部」がはてな、で行こうと思っています。「因果と言われても意味が全く分からない」と疑念を呈される方もおられるかもしれませんが、何を隠そう僕もよく分かっていないので、恐る恐る、怯え怯え、混乱しながら文章化し、少しずつ構築し、それら一連の行動でもって示していこうと思います。


2005/7/16 奥崎先生の喪が明けましたので更新します。

 

 人生はまさしく恐怖そのものですが、その氾濫する恐怖群の中でも最高位に達するものに、「つまらない奴と思われる」があります。自信を持って発した言葉が、自分笑いを必死に堪えながら出した行動が、これでワイの評価もウナギのぼりや!との確信に満ちたギャグが──すべる。あの瞬間の喪失感、絶望たるや、ちょっと他に代わるものが無いと思います。殺人がばれた瞬間より、徹底的に、挽回の可能性を根こそぎ奪われた挙句にすべった一瞬のほうが、バイツァ・ダストが発動しやすいと思います。

 なぜ、人はそこまで「つまらない奴」になることを恐れるかというと、それはもう、「面白い奴」と思われたいからです。外見の美醜、思想の善悪、資産の多寡などは、極めて刹那的なものです。時間が、立場が、国境が、為替レートがほんの少し揺り動くだけで、それらの価値観は一変し、あえなく移ろっていきます。が、「面白い」だけは、ほとんど東洋西洋、過去現在未来、ライトレフト、高級住宅街スラム街を問わず、確たる基準を持って存在していると言えないでしょうか。勿論、万人が認める絶対的な”面白さ”は無いにしても、それでも他の価値観よりは余程、強固に「面白いこと」は立脚しているのではないでしょうか。

 このイベントは、2000年代にウェブ上に星の数ほど表れた、自分の面白さに自信がある人達の中から7人の精鋭を選び出し、舞台に放擲し、彼らが「オフラインでも面白いのかどうか」を検証するものです。

 彼ら7名は、各々自身のサイトで長期に渡って活躍を続け、既に「面白い人」の評価を確立しています。ウェブ上は彼らにとって、何の危険も無い、賞賛に満ちた安息の地であるにも関わらず、彼らは本イベントへの参加を承諾しました。もしかしたら壇上で「残酷にすべり、今までの評価が瓦解する」可能性があるにも関わらず、です。彼らの中に「俺は絶対的に面白しすべるわけなんて無いから大丈夫」と一片の疑いも無く信じきっているような能天気な人は、ただの一人もいません。「俺も出たい〜」と無思慮に言うような人は、一人もいません。恐らく、全員が「すべる」ことへの圧倒的な恐怖と闘い、ギリギリのせめぎ合いの末に、出演を受諾したのだと思っています。払っても払っても襲い掛かってくる疑念や恐怖を押しのけ、声や態度には出さずとも、肝の奥底では「それでも俺が一番面白いはずだ」との槍をくくり、ロフトプラスワンに集ってくる、それぞれタイプの違う7名の兵(つわもの)。感動的な光景だと思います。

 その凄絶な闘いに、光栄なことに審査員として参加することになりました。7/23(土)、新宿ロフトプラスワンで、恐らく、今までに無かったものが観られると思います。お待ちしております。


2005/6/26 奥崎謙三先生が逝去

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050626k0000m060108000c.html

訃報: 奥崎謙三さん85歳

「ゆきゆきて、神軍」に出演  

 ニューギニア戦線で生き残った元日本兵が上官らの戦争責任を追及したドキュメンタリー映画「ゆきゆきて、神軍」(87年、原一男監督)で知られる奥崎謙三(おくざき・けんぞう)さん(85)=神戸市兵庫区=が16日、神戸市内の病院で亡くなっていたことが25日、わかった。死因は多臓器不全。

 奥崎さんは兵庫県出身。第二次世界大戦中、陸軍の上等兵としてニューギニアに従軍し、戦後は神戸市内で自動車部品販売店を経営。69年1月、皇居一般参賀中、昭和天皇に向かってパチンコ玉を発射し逮捕された。この事件について書いた「ヤマザキ、天皇を撃て!」などの著作もある。 映画「ゆきゆきて、神軍」の中では、元上官を訪ね責任を追及、この元上官に暴行を加えるなど過激な行動が収められている。

 衆院選に立候補中の83年、上官だった元中隊長宅を訪問し、居合わせた長男に拳銃を発砲。兵庫県警に殺人未遂容疑で逮捕され懲役12年の判決を受けた。

 出所後は1人暮らしで、近年は病気がちだったという。昨年8月に自宅で倒れているところを発見され、入院生活を送っていた。死ぬ直前まで院内で「バカ野郎」と叫んでいたという。


『ゆきゆきて、神軍』『神様の愛い奴』では、人間性の一つの極点を観させて頂きました。大変勉強になりました。死して尚、先生のことをますます尊敬しております! 心よりのご冥福をお祈り致します。

 


2005/6/25

「あたしが世界で一番不幸・・・」などとのたまうOLのような表情でネットをしていたところ、「Reading Baton」なるものが坂井さんから回ってきたので受け答えさせて頂きます。

 それにしても、全世界で猛威を振るうバトンシリーズですが、そのうち亜種として信教バトンなどが発生し、到るところで調伏が発生したりネット宗教戦争が勃発したりと大混乱に陥るのではないでしょうか……。例えば、イスラエルのネットカフェにたまたま寄ったパレスチナ人が自分のブログで「嫌いな宗教はユダヤ狂、おっと間違えた(笑)、ユダヤ教で〜す!」などと書いてるところを、モサドの工作員に見られたらと思うと気が気ではありません。世界平和を強く願う自分としては、あんまりハードコアな設定のバトンは禁止し、状況に応じて関係者を極刑に処することが出来る法案を今国会中に通したほうがいいんじゃないか、と心配しています。


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お気に入りのサイト

x51.org

魔人探偵脳噛ネウロ資料館


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今読んでる本

シグルイ4

 一時期、「シグルイを読まない人間とは喋る気がしない。同じ空気を吸いたくない。人間とは思わない」などと公言し憚らず普及に努めていた僕ですから、これを取り上げないわけにはいきません。現在連載中の漫画作品の中で、自分の知る限りでは最高度の情念が紙面から漂ってくる作品の最新刊。この巻は「虎眼流最高!強い!!最強!!」なエピソードから始まり、伊良子の復讐により虎眼流が壊滅に向かう過程を描いています。全員シコルスキーよりは強い虎眼流(この説については拙サイトを参照願いたいhttp://d.hatena.ne.jp/naph/20050223)が、剣客集団としても、組織としても崩壊していく様は、一種、華美壮麗でもありました。掲載誌であるチャンピオンREDの最新号では、我が目を疑うような出来事が展開しているのですが、連載を追っていない方はあと半年お待ちください。本当に驚きましたよ……。今ならまだ2000円も出せば全巻揃えられるので、是非購入して頂きたい。


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最後に買った本

シグルイ4

 一時期、「発行部数がハリーポッターを抜き、新約聖書、毛沢東語録、シグルイの順番になるまで俺は闘い続ける。最終的な目標は、ホテルの机の引き出しを開けるとシグルイが入っていること」と公言し普及に努めていた僕ですから、これを取り上げないわけにはいきますまい。現在連載中の漫画作品の中で、自分の知る限りでは数少ない、ダイヤモンドのような純潔と魔性を同居させている作品の最新刊。この巻は「門弟が殺される→門弟全員一致で最初に師匠を疑う」「松の木にもたれてセルフフェラ(http://d.hatena.ne.jp/naph/20050122)」など常軌を完全に逸した展開が繰り広げられており、一種、華美壮麗でもありました。掲載誌であるチャンピオンREDの最新号では、全国民が慟哭するような出来事が発生しているのですが、連載を追っていない方はあと半年お待ちください。本当に驚きましたよ……。今ならまだ2000円も出せば全巻揃えられるので、是非購入して頂きたい。

日本の合戦
 古今東西の日本で起きた名だたる合戦を、前後の歴史と情勢の説明に加え、豊富なビジュアルを織り交ぜながら解説してくれる雑誌。ディアゴスティーニの雑誌みたいな感じ。創刊第一号は桶狭間。特別付録として、なんと、旧日本軍参謀本部が製作した桶狭間戦図がついているので信長の野望で育った人間は創刊号は迷わず買うべき。刊行予定を眺めてるだけで楽しくなってくる。「世界の合戦」も読みたいのう。カンネの会戦や赤壁見てー。

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好きな作家

町田康
 生まれてこの方ずっと俺を襲い続けている、時に曖昧でじめじめとまとわりついて離れなかったり、時にやけに鮮明で強圧的に圧迫してきたり、時に何だかよく分からなかったりして混乱に追い込んでくる感覚、いわゆる、閉塞感、を文章では始めて取っ払ってくれた恩人。

松井優征
 週刊少年ジャンプで連載中の「魔人探偵脳噛ネウロ」の作者。荒木先生が去ってしまわれたジャンプに突然現れた、サービス精神が異常に旺盛でキャッチーなクレイジー。スタンスが根本敬に近い気がする。テニスの王子様をも凌駕する無茶苦茶な展開を投げつけておきながら決して物語や土台は破綻しない構成力。屹立したレッサーパンダが人間を奴隷としてこき使っているシーンや、ヨン様が投身自殺したシーンなど、亜空間カットインを唐突に挿入してくる奇想。連載ごとに明らかに上達していく画力など、あらゆる面で今後が楽しみな漫画家。まさかこの歳になってアンケート葉書送るとは思わなかったよ。待望の一巻は7/4発売で、なんとドーピングコンソメスープのレシピつき!!!何考えてんだ。駄目だろ。


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この本は手放せません!

ブッチュくんオール百科
「有益度ゼロの書籍」という偉業を成し遂げた一冊。プラスでもマイナスでもなく、完全なゼロ。どの方向も向いていない。一切の価値軸が存在しない。


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 誰にバトンを回すか考えたのですが、全く思いつかなかったので一切の思考を放棄、手近な宮本君に回して寝ます。


2005/6/16  中華人民共和国の国土の46%が乾燥・砂漠化

 あの広大にも程がある国のおよそ18%が砂漠化しているようで……。なんでも、日本とかアメリカから、中国の砂漠化の危険がある地域に「こりゃやべえ」と緑化支援しに行くじゃないですか。で、植林しますよね。草を植えますよね。そうしてある程度育つと、地元民が「金や、燃料や」と嬉々として伐採するらしいんですね。超頑張って緑をもたらした技術者たちの心境たるや……。駕籠真太郎作品のような永久ループを感じます。で、当然、結局、砂漠化。伐採した地元民は「日帝め」と呪詛を口ごもりつつ、貧苦に耐えるか流民と化す。放置された砂漠化した土地に染み込んだ生活廃水、工場廃水は黄砂となり、偏西風に乗り日本に飛来する。一体世界はどこへ向かうのか……。ちなみに砂漠は拡大を続け、北京まで220Kmに迫っているようです。早くハワイに逃げなきゃ……。


ついでに中国の無茶苦茶な環境一覧

世界の環境汚染マップ(ワ〜!シムシティみたい!)

あっ!羊さんがあぶな〜い!

加工?ガチ?公害写真集(まぁグロ)

革命的!中国式最先端緑化運動


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追記

中国で合戦
衝撃の合戦映像


2005/6/15 

 どんよりとした表情でアクセス解析を見ていたら、眞鍋ちんのサイトから尋常では無い数の民草が流入してきており、すわ発狂した眞鍋によるF5アタックか!?と狼狽したのですが、何のことは無い、ミュージックバトンなる企画の指名が来ていただけでした。よかった、よかった、眞鍋乱心のX-DAYはまだ先に、今日もお江戸は日本晴れじゃ!

 では、これが結局なんなんだかよく分からないけど、色んな人に回ってるので、それらを参考にしつつ分からないなりに頑張って答えます。

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Total volume of music files on my computer(卿のコンピュータに入っておる音楽ファイルはどれくらいなのかの?)

 6.8GBです。 ストリーミング作業は途中で完全に諦めてしまいました。 電気グルーヴのラジオが沢山入っているため、音楽ファイルはあんまり無いです。

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Song playing right now(そちは今、何を聴いておるのか? んん?)

 七英雄の戦闘の曲

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The last CD I bought(最後に金銭と交換したCDは何なのじゃ?)

 the bends/RADIOHEAD

 先日、実家に帰ったときに、18歳になる従兄弟に「(クラスでええカッコしたいので)何か古めのお勧めの洋楽教えて」と聞かれたので、自分が18歳のときに一番聴いたと思う bends を購入、あげました。

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Five songs(tunes) I listen to a lot, or that mean a lot to me(よく聴く、或いは思い入れがあったり、思い出すとジーンとなったりする曲を教えんか!!)

 十代の頃に聴いてたやつから選びました。

Supersonic / Oasis
 中学高校を図らずも一緒に通過してしまったオアシスとの出会いの一曲。

When You Sleep / My Bloody Valentine
 生まれて初めて自分の金で買ったCDの中の一番好きな曲。

Stereo / Pavement
 礼儀正しく人をナメてる。”適当”の前できちんと正座してる。強く共感する姿勢。

Go Go Round This World ! / Fishmans
 自分の人生観だとかそういうものは、だいたいこの一曲の中に入ってる。

ズックにロック / ゆらゆら帝国
 自分は醒めた爆発ってやつに始めて出会ってビックリしたのであります!

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Five people to whom I'm passing the baton(五人の猛者どもをこの企画に乗るよう説得し、ねずみ算の当然の帰結として世間を大混乱に陥れよ)

 しっかし、誰に渡していいのかサッパリ分からんなぁ。和気藹々とリンクするも、ひょっとしたら蛇蝎の如く嫌われてるかもしれないし…。日頃、見え透いた世辞を言い合う、お菓子を取り合う仲の人たちは既に渡されてるだろうし…。難儀するわぁ…。じゃあ、「こういうの答えなさそう」な匂いのする人たちに渡します。理由は各人それぞれ違うものの、まぁ推して知るべしとでも申しましょうか…。説明はここ!目指せ!回答ゼロ!ヨロシク〜!

NO-FUTURE / サカイさン

恋愛 / 相沢さん

桃色核実験 / 原宿さん

片親ナイチンゲール / しんやさん

ペパーミント / おやつさん



2005/6/11 第一次確執IQテスト

Q.1 下の三組から、他と違うものを選び答えよ。


フミヤ高杢



聖子SAYAKA



若貴




2005/6/4 METAL SAGA

 
 銀河系最高峰のRPG『メタルマックス』の続編『METAL SAGA〜砂塵の鎖〜』が 6/9 についに発売されます(公式サイト)。商標登録ビジネスという、ゴミのような制度の妨害を受け、”メタルマックス3”と堂々と名乗ることが出来ないのが残念であり、イチャモンつけてる会社には高濃度の呪詛を飛ばさざるを得ませんが、無事、発売にこぎつけたことを心から祝いたいです。ネーミング問題のせいか、あまり知名度が高くないまま発売を迎えるということで、微力ながら宣伝のお手伝いをさせて頂くことにしました。

 メタルマックス・シリーズは僕の中で金字塔であり、メタルマックス・シリーズ、女神転生シリーズ、オウガシリーズのうちの五本も遊べば、僕の人間性の大部分は伺い知ることが可能なほど、上記作品群から強い影響を受けています。ゲームで育った世代をナメてもらっては困ります。勿論、「プロバガンダ」という言葉を初めて知ったのはタクティクスオウガであり、人間の擬似人格やキャラクターに興味を持ち始めたのはペルソナから、そして、アナーキズムを知識・歴史としてではなく、身を持って体感したのが、メタルマックス2でした。余談ですが、何の因果か、ジョニー・ロットン、INU、メタルマックスの三存在にほぼ同時期に出会うことが出来たので、僕は相当、運が良い人間なのだと思います。

 メタルマックスが何のこっちゃ分からん人もおられると思うので、知らない人などは本当のところは構ってられないのですが、一応、ゲームの説明もしておきます。メタルマックスとは、上でも触れているように、セックス・ピストルズやバーストシティに出てた頃の町田康(※)みたいなものですので、あんな感じをイメージしてください。もう少し内容を詳細に説明すると、「ナチ女囚もの映画のような刑務所に騙されて入所した主人公が、看守に命令されて殴られながらドラム缶をアッチに運んだりコッチに運んだりする」イベントがあるゲームです。あとは戦車を駆り、北斗の拳のような世界を旅したりします。「説明内容が全く分からない」とお思いの方もおられるかもしれませんが、分かってたまるか!! 女子供はニンデンドッグでもチマチマやってろ!!!

 さて、そして、何より最高なのはその自由度です。イベント数は800超。恐らく、物語の本筋に関係があるのはその1/3にも満たないでしょう。親切丁寧に用意された、プレイヤー万民に等しく同じ流れ、似たようなシナリオ展開、期待も予想も裏切らない安定した均質の感動を与えてくれる良心的な漫画、映画、ゲームが氾濫する昨今において、「まぁ一応、悪い奴らはいますけど、別に倒さなくてもいいんで好きにプレイしてください」と堂々と公言し実践するその意気やよし! ロード時間が結構長いとの噂もありますが、こちとら元PCエンジンCD-ROMユーザーです。まるで問題ありません。何より、10年ぶりに血と鉄と硝煙の世界に戻れることに比べたら、ロード時間などは瑣末な問題です。あと五日、楽しみに座敷牢で待とうと思います。



※唖の役で、文字通り「アーーアアーーアーー」とかしか言わない。役名は「キチガイ弟」。石井聰亙監督作品。当時、高校生だった僕は映画のあまりの意味の分からなさに戦慄した。


 2005/5/21 漫画総括/2005/5/14〜20

 今週、最も凄まじかった漫画といえば、やはり『取締役 島耕作(週刊モーニング)』であることは疑いようがありません。

 現在、島耕作ことラッキーマンは、躍進を続ける巨大国家・中華人民共和国をビジネスの舞台に活躍を続けています。二人の役員を管理し、名実ともに初芝(耕作の勤める会社です。ソニー辺りと思ってください)中国部門のトップに立った耕作。順風満帆と思われた耕作だったが、なんと先週、(漫画内の)中国で大規模反日デモが勃発! 初芝製品が暴徒によって破壊されまくる憂き目に! 以上が先週までの流れです。いったいどうなってしまうのでしょうか……。

 そして今週。初芝を襲った反日デモ。しかしそのデモは、何故か「初芝製品を扱う店と初芝製品のみを襲う」といった不可解なものでした。耕作は裏にライバル企業、もしくは初芝を快く思っていない集団の影を敏感に感じます。しかしそれより先に、この騒動を治めることが先決と耕作は見ます。そして、反日デモの火種であり拠点となっているのが”インターネット”であることを突き止めた耕作は、中国編の股肱であった元秘書と元部下(両名とも中国人)に、なんと「二人で協力し合い、初芝を擁護する書き込みをするように」と、とんでもない指令を下します。そう、自作自演です!

 まぁ社命だからやらなきゃ仕方ないわけですが、部下達も部下達で、社内や自宅などで目に付かないようやればいいのに、あろうことか街中のオープンカフェでノートPCを広げ、
元秘書「(身分を盛大に偽り)偏向的な日本批判は良くないと思います」
元部下「(身分を堂々と偽り)僕もそう思います」
といったような遣り取りを始めたのです! ここで今週号は終わり。柱にはご丁寧に「インターネットにはインターネットで対抗!」などと無邪気なコメントがついていました。自作自演擁護を、街中のオープンカフェで二人並んでやらせる島耕作(=弘兼先生)……。流石、の一言しか出てきません。

 しかし、これから先、いったいどうなるのでしょう(どうするつもりなのでしょう)。愚考するに、大まかに二通りの展開が考えられます。

 まず、「耕作の妙策はどういうわけか成功し、デモの中心人物たちと悶着がありつつも、色々あって反日デモは沈静化する。ついでに黒幕たちもやっつける」が、今までの『島 耕作』を読んでいる限り一番考えやすいかなあと思います。

 もう一つは、「部下たちは世界一間抜けにも、『自作自演現場を通りかかった反日の徒に発見され大変なことになる』『 fusianasan などにまんまと引っかかり、リモートホストがモロバレ、自演行為が完全に白日の下に晒され祭りになる』などのチョンボをやらかし、耕作は更なる窮地に……」といった展開です。

 弘兼先生が安直に楽に行くなら、前者の展開を採るのは言うまでもありません。まぁなんか色々あって耕作がラッキーマンに変身、事態は収束していく。これまでの『島 耕作』に信じられない数、存在してきた黄金パターンです。
しかしながら、弘兼先生は時折、主人公をとんでもない目に遭わせることがあります。例えば、『加持隆介の議』という作品では、政治家である主人公がカンボジア視察に行くや否やポルポト派の残党にとっ捕まり、「コイツデミノシロキンヲ・・・」などと獄に繋がれ、本当に大変な目に遭ってました(なお、余談ですが、脱出に尽力してくれた、日本に憧れるポルポト派の少年は脱出成功寸前に唐突に底なし沼にはまって他界する、という念の入れようでした)。その前例がありますから、安穏を良しとせず、後者が採用され、耕作も似たような無茶苦茶な目に遭い、部下や同僚が二〜三人逝去、という展開が待っていても全然おかしくありません。
 
 前者は、漫画としては至って普通で、いつもの島耕作を安定して楽しめることになりますが、代わりに、「弘兼先生はインターネットをさほど重要視していない」ということが露になってしまいます。

 後者だった場合は、漫画としては破綻したものになってしまうかもしれませんが、「弘兼先生はインターネットの利便性だけではなく、マイナス面、恐怖面も知っておられる」と、より一層の読者の尊敬を集める結果を生むでしょう。

 つまり今回のエピソードは、もはや人類にとって欠かすことの出来ないツールとまで成長・肥大化した「インターネット」に対し、弘兼先生がどの程度の見識を持ち、どの程度の期待を込めているかが明らかになる回なのです。きちんと把握しておられるか、それとも滅茶苦茶そのものか、どちらになるかは分かりませんが、心して次号を待とうと思います。

 


 2005/5/18 お詫びと訂正と謝罪と土下座

先日の当サイトの記述で、

「根本さん、私はね、やるんなら、とことんやりたいんですよ!」
(川西 杏先生)

 とありましたが、発言者は川西杏先生では無く、正しくは奥崎謙三先生でした。

 あの御二人が人智を超えた存在であり、私のような一市井の人間からすれば”宇宙に偏在する波動エネルギー”のような訳の分からないレベルの人物であったがため、渾然一体のまま、混同してしまいました。

 十文字に腹を割いたところで許されるようなものではありませんが、両先生、関係者の皆様方に多大な迷惑をおかけしてしまった愚を、そして、読者の皆様に誤った情報を伝えてしまった無思慮をお詫び致します。なお、言い訳ではありますが、たぶん川西先生も同じようなことを言っていると思います!

 


2005/5/17 やっと買った。読んだ。


 人間が大勢でバラバラにゴチャゴチャと何かやっているところに視点を提示し、それらをまとめ「歴史」として示し、膨大な蠢きを文章化し一冊の本として仕立て、なおかつ読んでべらぼうに面白いものに仕上げる。という、すなわち偉業を成し遂げたということで、これからは、司馬遷、ヘロドトス、みなもと太郎、ばるぼらさん、でどうでしょうか。特に、物事の起こった原因を徹底的に突き止め、どこまでも源流を遡ろうとする姿勢には感動しました。こうした本に出くわすことが出来た僕らもラッキーですが、初めからこの本がある後世・後進の幸運たるや怨めしいほどで。



「根本さん、私はね、やるんなら、とことんやりたいんですよ!」
(川西 杏先生)


ばるぼらさん

感想リンク集



※で、一読し、強いやる気を喚起されたというか、こりゃウカウカしちゃいられねーという気持ちが湧いてきたので、どうすればいいのか一考。混乱の極みの中、サイト名を元に戻しました。僕の行動原理の全ては「突き抜けたい」の一点に集中しており、そのためには、やはりこの名前が必要だったようです。なお、この変名行動に「せっかくだから本に載ってる名前にしたほうがよくね!?」といった虚栄心が無いといえば嘘になります。お恥ずかしい。




 

2005/5/13

 刺身さんより「山谷スペシャルが見たい」とリクエストがあったので、大破した旧々マシンを気合でサルベージ、発掘、”竹田・山谷地獄変”を再掲載しました(つまり、刺身さんは元気です)。

 土曜にとある新婚さんを祝いに行くのですが、新郎さんは喜んでくれる気がします。これをもって、僕からの教訓を含んだ結婚祝い、とさせて頂きます。一方、新婦さんには汚いものを見る目で一瞥されるかもしれませんが……、それもまた運命でしょう……。

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山谷

 東京都北部に位置する一大ドヤ街。学ぶことが異常に多い街。近くに小塚原処刑場跡があるのが象徴的。

 山谷は、荒川区南千住から台東区清川、東浅草一帯の地域を指す名称である。現在は山谷という地名は抹消されたが、地域名称として残っている。江戸時代には、日光街道と奥州街道の入り口となる宿場として発展した。太平洋戦争後、被災者が上野周辺に集まり、山谷に簡易宿泊施設が作られるところから現代山谷の歴史は始まった。

 人が集まるところから復興は始まる。山谷に集っていた被災者達は、復興時の労働需要に大きく貢献した。それは次第に「山谷には仕事がある」という形で諸方に伝わり、山谷には職を求め労働者が集まっていくことになる。折しも時代は戦後復興から高度成長期であり、最盛期には300件の簡易宿泊施設に、20000人もの労働者が集まっていたという。だが、昭和後期から経済成長は緩やかになり、山谷に対する労働需要は減っていった。それに伴い、山谷には職にあぶれた人間が増えていくようになる。バブル期には一旦盛り返したようだが、現在は長引く不況の影響をモロに受け、陰惨でどんよりとした雰囲気が充満する街となっている。


 筆者はこの街を3回ほど訪れているのですが、一度も「美人」「可愛い」「格好良い」「ハンサム」の部類に入る人を見ていません。同行した人間も揃って同意見のため、筆者の趣味嗜好が一般と大きく隔たっているわけではないようです。路上にはおじさんが寝ており、近くには空の焼酎瓶が転がり、公園では住民の皆さんや露骨な外見をしている人達が談笑しており、活気と若者は完全に影を潜めています。また、街のいたるところに、ヘル・エッジ・ロードの終着駅的なスポットが点在しており、近付く者の背筋をヒヤリとさせます。平安京は結界を作るように出来ていた、という話は有名ですが、山谷もまた、GHQと復興委員会の手により、何らかの結界を施されていたのではないだろうか、と筆者は夢想します。散策すればするほど、人生について深く考えさせられてしまう街です。
  一方で、現在は、バックパッカー的な外人旅行者の宿泊スポットとして注目を浴びているという話もあります。変化やカルチャーショックを求める方は、一度足を伸ばしてみてはどうでしょうか。




アクセス
 JR常磐線南千住駅から泪橋方面へ5分ほど歩くと到着。山谷地区に入ると空気が変わるのが分かります。

宿泊料金
 1500円あれば上等な宿に泊まれます。なんと、ネット可能の宿も! 泪橋近くには銭湯もありますが、傷を負っている場合などは入らないほうが無難でしょう。

飲食
  大衆食堂のような店は割とあります(筆者は味は未確認です)。コンビニはセブンイレブンとファミリーマートが確認できました。マクドナルド、吉野屋といったファーストフード店やフランチャイズ店は確認出来ませんでした。一件、ケーキ屋があったのが衝撃でした。

じゃあ前置きは終わりで、決死の取材結果(2.8M)。

 

筆・2003/4/29



2005/5/10

飲尿王決定戦!利きバニラアイス選手権!

NO-FUTURE
http://www.st.rim.or.jp/%7Er17953/


すげぇわ。完全に狂ってる。

 


2005/5/9 死霊に心からの謝罪。土下座外交。

 もう本当に悪いことをしたなぁ、と思う。それというのも、僕は25年生きてきて、今日まで「死霊」を恐ろしいもの、と思い込んでいたからだ。まぁそりゃあ霊だから生きてるコッチからすれば恐ろしいものではあるのだけれど、言うほど恐怖の存在ではない、ということだ。というのも、民俗学の本や土着信仰の本なんかを読むところに寄ると、本邦では本来、「先祖」「そこらへんにいるもの」の霊を、ひっくるめて「死霊」と呼んでいる。”死”んだ人の”霊”、すなわち”死霊”。これは日本語として至極正しく、”悪”いことをする”霊”すなわち”悪霊”とは完全に別質のものであり、死霊は、決して僕が抱いてきたような「人間を無条件に襲うとんでもない存在」では無いのだ。本当にすまなかったなぁ、死霊。

 では何故、僕は、僕らは死霊を恐ろしいものだと思い込み、必要以上に恐怖し、夜中にトイレに行かない等の防衛策を必死になって取ってきたのか。それは勿論、世の中に星の数ほど存在する恐怖映画群によるメディア・コントロールのせいである!

 試みに「死霊の」でGoogle検索をしてみよう。するとブラウザには、『死霊のはらわた』『死霊のえじき』『死霊の罠』といった、字面だけで発狂しうる恐怖作品群が顔を覗かせるはずだ。サム・ライミもロメロも邦題つけた人も、とんでもないことをしてくれたものだ。中には『死霊のしたたり』『死霊の盆踊り』などのウルトラZ級作品もあり、”死霊”の持つパブリック・イメージを著しく崩壊せしめているが、それを差し引いてもなお、”死霊”は恐ろしいイメージを含む言葉として定着しているといえよう。

 しかしこれからはもう騙されてはいけない。元々、本邦は「神様とか霊とかその辺にいるしぃ〜」と嘯いて恬然としているような国である。「死霊? まぁ、隣にいるよ、とか言われたら気持ちいいもんではないけど、いるんなら仕方ないなぁ」くらいの鷹揚さでもって接することが出来る国民性なはずである。ここは一つ、悪辣非道なる映画会社のメディア・コントロールから、メディア・ブレイン・ウォッシィングから解き放たれ、死霊の、精神の自由を獲得しようではないか!


なお、死霊はいいけど悪霊はマジ怖いので、我々は依然として夜中にトイレに行かない等の防衛策を取り続けなくてはならない。

 


2005/5/6

 麻草さん面白い図を作っていたので、自分が好きな部分、所属しているであろう部分を赤丸でくくってみました。こういうのカテゴライズの正否・正誤・善悪は定かではですけど、その配置や分析の話は頭がいい人たちに任せ、僕はただ赤で丸を描きました。僕はゴールデンウィークの真ん中にこういうことをする麻草さんがとても好きです。

 この図は世情に阿るところが一切無く、大変に良いと思うのですが、ただ、一つ不満があります。それは、「被害者意識」「悩み自慢」「弱さ自慢」があるのに、そのエリアに川西杏先生の名前が無い点です。許しがたいです。憎い、憎いです。麻草さんをくびり殺してやりたいです。駅のホームから突き落とし、そ知らぬふりをしてやりたいです。そして脱走患者を気取り、見事、無罪を勝ち取ってやりたいです。あの、「無罪」って書いた紙を持って外界を走り回りたいです。神の左手悪魔の右手のようにケーキを無理矢理大量に食わせて殺してやりたいです。そして、「ああ、その殺しかたはセブンの大食だね」としたり顔で指摘する輩には「馬鹿野郎、米帝の映画など見るんじゃない」と鉄拳制裁を食らわすのです。

 しかしながら、この図はたぶん「分類そして所属」を表すものでありますし、そう考えると「所属・川西杏」である人は相当少ない、ほぼゼロと言って差し支えないはずなので、あえて川西さんの名は書かずとも良いのかもしれません。つまり僕の主張がズレているわけで、麻草さんを殺すことは中止することにしました。殺意を霧散させることにしました。それに、「自分は川西杏世界に所属しております!」と堂々と言ってのける人とは、なるべくならお近づきにはなりたくないので、つまり川西さんの名前を書くこと自体、触らぬ神に祟り無しですので、やはり麻草さん殺害計画は中止することにしました。丑の刻参りを中断することにしました。

 あと、直接は関係無いのですが、先日出向いた集いで「オタクとサブカルの対立が起きている」ということを聞き、大変驚きました。というのも、自分は未だに「オタクとかサブカルとかは第三者から張られるレッテルであり蔑称。つまり自称するものでは無い」と固陋にも思い込んでいたからです。よもやそれらが肩書きとして立脚・機能し、他勢力を攻撃するに至っていようとは……。俄かには信じられず、自虐・自嘲的な自称かとも思ったのですが、どうやら誇りすら介在しているようで……。人がボンヤリとしているうちに、恐ろしい時代が到来していたものです。

 ちなみに自覚しているところでは、僕の時計は96年くらいで止まっています。それによると、「サブカル」はこうしてタイプするのも恥ずかしいくらい全方位的にダメなレッテルで、「オタク」は、ブス撲滅委員会跡地より引用しますと、

それにしてもオタクって言葉はソフト過ぎてムカつきますね。この名称が生まれる以前は「ザコ」とか「ボケナス」なんて総称されていた奴等ですよ、毛唐に言わせりゃ「ヘンタイ」ですよヘンタイ。あたしオタクなんですぅ〜なんて開き直る前に自分が負の存在である事を自覚して欲しいモノです。

 な蔑称だと思っていたのですが、いつの間に肩書きへとシフトしたんですか。何時、何があったんですか。黒幕は誰なんですか。300人委員会ですか。エグリゴリですか。宮内庁ですか。KGB残党ですか。電通地下会議ですか。



※訂正
世間がどうなろうと別段どうでも良かったので、一生ジョジョでも読んで過ごします。

 


2005/5/4

 携帯電話が心底忌まわしい。俺は携帯という人の領域を無断かつ冷酷に侵食してくる悪魔の装置が嫌いで嫌いで、しかしながら弱卒・無能の徒であるがゆえに、持たねば仕事・社交・生活などが立ち行かないため、やむなく自分を殺しながら持ち歩いている。加え、「嫌いなものを持ち歩かなくてはならない屈辱」を「ならば持ち歩かなくてもよいような身分・立場になれるよう頑張ろう」などの向上心に繋げることは一切せずに、ダイレクトに携帯への悪意にシフトし上乗せさせているため、今や俺の携帯嫌い度数は天井知らずだ。しかも最近は「何時の間にか勝手に電源が切れている」といった奇病に犯されており、いよいよ何のための携帯機械なのか、何のための所持なのか分からなくなってきた。各電話会社の非道・奸計・悪しき思惑にまんまとかかった形であり、まったくもって無念この上無い。

 しかし、「持ち歩く」という妥協はしたものの、携帯電話に対する怒りだけは忘れてはいけない、と常時、自らに言い聞かせている。携帯電話とは文字通り携帯し持ち歩くものであるため、常に身に着けているうちに、油断すると「まぁこいつも小さいわりに頑張ってんじゃん」などと変に許容し、愛着を持ってしまう可能性があるのだ。恐ろしいことだ。俺はこいつへの「持ち歩く」以上の妥協を決してしないために、「所持物」以上の感情を絶対に抱かないために、臥薪嘗胆の志で日々を過ごしている。

 具体的には、外出する俺のパンツの右ポケットを無法にも我が物顔で占拠するこの小型機械への憎しみ・怨み・憎悪・怨嗟・破壊衝動・復讐心・殺意を絶えず意識し、街中を闊歩する際、重要な商談の際なども間断無く意識し、冷たい視線や極めてつっけんどんな態度でもって常に携帯の野郎にプレッシャーを与え続けている。また、寝る前などは、一日を過ごすことにより溜まりに溜まった悪意を、自宅をこれ幸いとここぞとばかりにぶつけ、「今日もお前は何の役にも立たなかった、無能め」「無駄飯喰らいが」「迷惑メールなど勝手に受信しやがって、頭が悪いんじゃないのか」などと罵倒するのである。しかしながら相手は知性や感情が無い機械であるがために、リアクションは全く無く、自然、罵ることにより与えられるダメージはゼロであるらしく、つまり徒労、俺の口舌の刃は無常にも空を切り、俺は絶望的な敗北感を味わい、しぶしぶ寝るのであった。

 


 

2005/4/23

 今、断然、地図帳が熱い!!!

 

 成美堂出版から出ている世界地図が、最高にクールなバイヴレーションを発揮していて素晴らしくエクスタシーだ。地図帳とは、義務教育を経てきた方ならご存知かと思うが、「世界の地図や人口やGDPなどが記載されている」書物のことである。完全に余談ではあるが、僕は義務教育・高等学校教育時代、まったく勉強が出来ず、特に英数にそれが顕著であり、授業中・テスト中は、生きながらにして地獄の業火に身を焼かれる気持ちで中高の六年間を過ごしてきた。確かあれは中三の頃だったと思うが、「もうだめだ、何をしても無駄だ」と結論づけ、以降、英数の授業中は教科書を放棄、別の書物を読むことに耽溺したものだ。その際に最も選ばれる率が高かったのが、地図帳なのである。生徒としては完全に駄目だが、今思えば、あれは素晴らしい経験だった。や、今思い返しても完全に駄目なことは確かだが、まぁ、あれはあれでマイナスではなかった。いや、完全にマイナスだった。何故、僕はしっかり勉強してこなかったのだろう……。

 話が逸れた。

 図らずも、現在の自分に降りかかる不幸・困窮・災いの主原因の一つが明らかになってしまい呆然としているが、色即是空、沙羅双樹の花の色、Let It Be、ケンチョナヨ、全てを無かったことにし、話を地図帳に戻そう。

 地図帳を貪り読むことにより僕は、世界の実寸、人口、経済格差などを学習し、初めて出身の地である会津盆地の外の世界を意識することが出来た。自分の生きている地域、生まれた国、その他の国を頭に入れることで世界を線引きすることが出来、ナショナリズムが芽生え、田中宗一郎卿風に言うなら、グローバリゼーションの脅威を知ることが出来たのだ。また、日本の意外な狭さ、一人当たりの年間収入が2万円くらいしか無い国の存在、首都名に「 スリジャヤワルダナプラコッテ(SriJayewardenepura Kotte)」などという完全にふざけているとしか思えない名前をつけているスリランカの雄大さ、海軍が15人しかいないという、いったい何を考えているのか、一度「国防」について話を聞いてみたい国の実在などを知り(国名は失念。アフリカのどっか)、それらは人生に役立つことは全くなかったが、生を豊かにすることは出来た。

 そして、地図帳から離れ久しい2005年、より詳しい、というより執拗なまでに詳細・綿密な地図帳に再会することが出来た。それがこの『今がわかる 時代がわかる 世界地図 2005年版』なのだ。

 この書物には、世界地図は勿論、世界情勢を取り巻く環境や石油分布、軍隊展開、失業率、犯罪率など、様々なデータが、グラフと簡潔かつ詳細な説明付きで記載されている。 全てのデータは、世界地図を下敷きにしているので、視覚的に実感を持って読むことが出来るため、とても分かりやすい。以下に、本書籍に収められているデータ項目を書き出してみた。

☆国際政治
 /国旗・政治的リーダー
 /政治的リーダーの報酬
 /世界の紛争
 /中東問題
 /イラク情勢
 /パレスチナ紛争
 /カフカスの紛争
 /朝鮮半島問題
 /米軍の世界展開
 /世界の軍事費
 /世界の難民
 /核兵器・原子力発電所
 /国連分担金
 /日本のODA
 /政治体制と選挙制度

☆社会
 /世界の宗教分布
 /世界の人口
 /人間開発指数(HDI)
 /平均寿命
 /結婚率・離婚率
 /世界の年金制度
 /失業率
 /犯罪率
 /医療費
 /喫煙率
 /生活習慣病
 /感染症
 /HIV・エイズ感染率

☆産業経済
 /エネルギー消費量
 /国内総生産(GDP)
 /世界の貿易収支
 /日本の製品輸出入
 /世界の自由貿易圏
 /成長競争力
 /国債格付け
 /外貨準備高
 /世界の消費税率
 /物価と生活基準
 /世界の銀行ランキング
 /牛肉消費とBSE
 /世界の穀物自給率
 /食料と文化
 /日本の水産物輸入
 /製品生産量のシェア
 /世界の企業売上高
 /国際ブランドの価値
 /ダイヤモンド
 /世界のマクドナルド店舗数
 /世界のセブンイレブン店舗数

☆交通・情報
 /自動車業界の再編
 /航空会社のグループ化
 /日本の海外旅行者数
 /インターネットの普及
 /IT対応ランキング
 /世界の新聞発行数
 /宇宙開発
 /太陽系調査

☆環境・自然
 /CO2排出量
 /地球温暖化
 /大気汚染
 /火山帯・地震帯

☆文化・スポーツ
 /世界遺産
 /ノーベル賞受賞者
 /サッカー・FIFAランキング
 /サッカー・プロリーグ
 /MAJOR LEAGUE BASEBALL
 /オリンピック

☆統計
 /面積
 /人口
 /人口密度
 /都市人口
 /山の標高
 /島の面積
 /河川の長さ
 /湖の面積


 といったところである。以上のデータを、世界地図を下敷きに、グラフ、説明、ランキング付きで知ることが出来るのだ。

 世界の環境を知る上でも役立つし、ビジネス・企画の数字としての根拠を示すにも都合が良く、単純にぱらぱら読むのにも大変適している。特に、僕もそうなのだが、データベース的なもの、カタログ然としたものを読むのが好きな方は気に入るのではないだろうか。

 結構な量のデータ集の中でも特に圧巻なのが「国旗・政治的リーダー」項目であり、世界192カ国の簡易なデータ、国旗、そしてリーダーの写真を知ることが出来る。これにより、「ほう、ホンジュラス共和国の大統領はリカルド・マドゥーロ・ジェエストというのか……」などと確実に一生使うことの無い知識を得ることが出来たり、世界の国家元首・政治的リーダーたちの「さいとうたかを作品顔」率のあまりの高さに驚きを覚えることが出来るだろう。

 グローバルな視点を持ち、野望を世界に向ける諸兄にも、何もやることが無く、部屋で一日寝転がり過ごすしか無い日々を送る諸兄にもお勧めできる、稀有な書物である。その辺の本屋で売ってると思うので、一度、目を通してみてほしい。



2005/4/20

 またHTMLに戻ってしまった。この移転癖、サイト名変更癖はもう一生治らないのではないか、何か脳の障害の一種なのではないか、と不安になります。僕は生涯、wwww(ワールド・ワイド・ウェッブ・ワールド)を居場所を求め彷徨い、されど見つからず、憔悴しきった末に絶望し、路傍に窮死するのでは無いだろうか……と。こうやって同じような場所を延々と行き来しているうちに、HTMLとその他は、のび太の家の畳の下とコーヤコーヤ星の間の異次元のように、次第次第に離れていき、ついには往来が不可能になってしまうのではないか……と。 あの異次元に落ちてしまうのではないか……と。

 今回、僕をこの凶行に追い込んだのは(責任を擦りつけたのは)、ブログ全般がその根幹に持つ、関係性の強要であります。ID文中やトラックバックといった、一方的に無理矢理に人間関係を強いてきてそれを公にしてしまう恐怖のシステム……。その強襲に怯え、生来、人が苦手な僕は狼狽し、心は千々に乱れ、泡を吹き昏倒する日々を繰り返してきました。

 世に蔓延するトラックバックの大半は、善意・無邪気に支配された、心底恐ろしいものである、と狭い世界に生きる僕は思い込んでいます。そして僕が最も恐れるのは、善意と無邪気です。受けただけで気絶します。まったくもってコミュニケーションは恐怖そのものです。

 大変に幸運なことに、僕が受けたID文中やトラックバックには、そうした恐怖要素は無く、実に平和に「やった、やった」と喝采を叫び喜んでしまうものでした。が、いつ何時、善意によって生み出された凄絶なトラックバックを受けてしまうか、この魑魅魍魎が跋扈する世界では分かったものではありません。「まだ実際に受けていないのにこの体たらくでは、実際に危機に瀕した際、即死してしまうだろう」と近い将来、確実にやってくるであろう死の淵を感じ、僕は青ざめました。

 そこで、自宅のネット環境が復旧したのを幸いと、リンク変更やアンテナ登録をしてくださった乃木希典大将クラスの徳をお持ちの方々の好意・優しさを踏みにじり、個人的な感情でもって移転するに至ったのであります。 それに、僕は別に情報の共有とか利便性とかは要らないので……。共鳴がしたいだけなので……。

 なお、新しいサイト名は「仲間たち」って意味です。ナッドサット用語です。「仲間」という意味に全く相応しくない響きが大変気に入っています。ですが。またすぐ変わりそうなので、サイト名の変更はしなくていいです。多分徒労になりますので……。すいませんね、へへ……。 また、この言語の使い手であるアレックスさんは後年、「仲間たち」と呼んだ連中に無理矢理に人気の無い荒野に連れられ、ボウフラの涌く腐った水溜めに顔を突っ込まれるという、お笑いウルトラクイズ然とした目に遭いましたが、まぁそういうことになるのも人生ですしね。僕もいつかはそうなりたいと思っています。

 

 





予定

6/9/thu/METAL SAGA 発売




 



概略 

 

竹田(中央)。1979年出生。昼間は横山昭二弁護士の下で人権問題解決に奔走し、夜は秩序維持委員会・執行部部長として不穏分子の粛清を行うなど、多忙な二重生活の日々を送る。

メールは naph@ultrasync.net 。 MSNメッセンジャーは koukinzoku_5@hotmail.com。ミクシィのIDは3331


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